2006年11月28日 (火)

フィギュアスケート全日本ジュニア選手権大会

この週末。広島県のビッグウェーブという運動施設で行われた「フィギュアスケート全日本ジュニア選手権大会」に、トレーナーとして行って来ました。この大会はジュニアの日本一を決める大会であり、この大会で上位に入ると、「世界ジュニア選手権」や、安藤美姫、浅田真央らが出場する「全日本選手権」へ出場が認められるという、ジュニアにとって最高峰の大会です。

今年は、昨年のまでの大型スター選手がいないとはいえ、橋本聖子日本スケート連盟会長の挨拶に始まり、フジテレビが取材する注目度の高い大会です。

今回は、ジュニアのグランプリシリーズのオランダ大会に私が同行した「水津瑠美(すいづるみ):高校1年」選手の他に、同大会にエントリーしている「無良崇人(むらたかひと):高校1年」選手、「近藤琢哉(こんどうたくや):中学3年」選手の、3人に対し「ウォーミングアップから、動作確認、マッサージまで」を行うのが私の仕事でした。

無良君は、昨年2位。今年、この大会では、男子唯一のシード選手です。水津選手は、昨年4位でした。近藤君は、今年一桁順位を目指す選手です。

仕事内容には、一般的なトレーナーの仕事に加え、「プライマリーモーションを利用した動作確認」が含まれます。カラダのバネが生かされているか、バランス維持は適切か、エッジに乗るポジショニングは適切か、などを、ウォーミングアップの段階でチェックするのです。通常何となく行われている動作確認を適切に行うことが出来るのがプライマリーモーションの特徴です。

また、「『自分の動作が適切か』を感じ取る」ことに注意を向けることで、メンタルを安定させるということも行います。これも、プライマリーモーションの中の「心のカギ」を利用したものです。

さて、結果です。

近藤琢哉(中3)→9位: ショートでは、ステップでまさかの転倒をしてしまいましたが、フリーでは、安心して見ていられる演技を、ノーミスで行ってくれました。演技の構成上、ポイントが伸びませんでしたが、来年に向けて期待の持てる、満足の結果でした。

無良崇人(高一)→2位: 優勝が絶対条件でしたが、残念ながら結果は2位でした。フリーの演技の日、朝から体調が悪く、何も食べられず、試合前のウォーミングアップでは、ぎりぎりのタイミングまで休ませてから、マッサージと、たった10分のウォーミングアップ、そして、動作確認だけで試合となりました。

試合に向かう彼は、とても苦しそうでしたが、サスガ実力者です。演技になると気力を振り絞って演じ切り、フリーでは1位の得点を出してくれました。しかし、総合で0.8点の僅差で及ばず、2位に終わってしまったのが残念です。私としては、体調管理が行き届かなかった事を反省しています。彼がどれほどの症状であったか詳しくは書きませんが、普段であれば立っていることも大変な状況だったのです。

水津瑠美(高一)→2位: ショートで挑戦した3回転+3回転は惜しくも両足着氷となってしまいましたが、フリーでは、ジュニアグランプリシリーズのオランダ大会で3つあった回転不足を、全てクリーンに降りる会心の演技で1位の成績を残してくれました。

全日本ジュニアという大会は、フィギュアスケートという、華々しいイメージとは異なり、ピンと張り詰めた重い空気が会場にのしかかる異常な雰囲気の大会です。フィギュアスケートが、個人種目で、自分との戦い(直接敵と戦わない)であるということと、ジャンプは全て1回のチャレンジだけで成功させなくてはならないプレッシャーがあるということに加え、成長過渡期の中高生の大会であるということが、その独特の雰囲気の元なのかも知れません。

見ている関係者も、父兄も、全身が硬直し、心臓が飛び出るほどの緊張で観戦し、一喜一憂するのです。そんな中、3人は、出来る限りの演技を最大限にやってくれたと思っています。

この試合の結果、無良崇人選手と水津瑠美は、年末の全日本選手権と、来年2月末ドイツで行われる世界ジュニアへの出場権を得る事が出来ました。

○⊂shinzo⊃○

※フジテレビで、12月3日深夜、この大会の模様が放映されます。

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2006年11月14日 (火)

練習とは

■ 選手の仕事は「『出来るようになったこと』を繰り返し行うこと」

選手が繰り返し行う練習は、「『出来るようになったこと』を繰り返し行うこと」に使われなくてはなりません。出来ないことを出来るようにするために、その動作を「繰り返し」はしてはいけません。「上手くいかない動作」を繰り返せば、「上手くいかない動作の熟練度が増してしまう」からです。

出来ないことを出来るようにするのは、コーチの仕事ですが、その時間は出来るだけ短く済ませ、「出来るようになった動作を、いつでも、とっさの時にでも行えるように繰り返す」練習を、選手がたくさん出来ることが大切です。

○⊂shinzo⊃○

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2006年10月16日 (月)

フィギュアスケート ジュニア グランプリシリーズ オランダ大会

PMIA会員の皆様、会長のイケガミです。

フィギュアスケート ジュニア グランプリシリーズ オランダ大会から戻りました。
(専属のフィギュアスケートのコーチが同行出来なかったため、コンディショニングと陸上のプライマリーモーショントレーニングを担当している私が同行することになりました)

オランダのハーグという都市は、政治の街で、美しい建物が整然と並び、広々とした空間には芝生が青々と茂る美しい街です。その街の外れにあるスポーツセンターにあるスケートリンクが今回の会場です。

私が同行した水津瑠美(すいづるみ)選手の結果は「3位」(いつもは「ルミ」と呼んでいますので、以下はそのようにします)。2回滑るうちの1回目のショートプログラムでは2位だったので、残念な結果でした。

しかし……彼女は、今持っている最大限の演技を披露してくれました。

まずはショートプログラムです。2分30分程の規定演技。
今年のジュニアはまだ誰も試合で成功していない3回転+3回転を成功させ、さらに、その完成度が高いと評価され、加点もされました。出かけるまではほとんど成功していませんでしたが、現地では調子が良かったので、私の判断で飛ばせました。

……2回目のジャンプに「3回転をするぞ!」と力むと、1回目ジャンプが狂うことがよくあり、また、3回転が回りきらなかったときは、2回転の回りすぎとみなされ、2回転の得点からさらに減点される仕組みです。この判断には勇気が必要でした

演技が始まり、最初のジャンプが、3+3です。緊張が走ります。……彼女がクリーンに3回転を連続した瞬間、全身にぞわぞわと鳥肌が立ち、いける!と、感じました。その後も完璧な演技です。ジュニア日本女子のショートプログラムではダントツ今期最高点です。その技術点の高さを知った関係者は騒然となったくらいです。
(^_^)v

そして、フリースケーティング。3分30秒程の間に、自分の持てる技術を全て見せます。結果は、回転不足のジャンプが3つもあり、大幅に減点されてしまいました……。

★ところが、演技内容は”素晴らしい”の一言だったのです★

スコア表では分からない真実はこうです。

アメリカの応援団で沸き立つ会場に、アメリカの選手に挟まれるカタチで出場したルミは、そんなことはには全く動じず、落ち着き払った演技を披露してくれました。
15歳の少女が演じているとは思えない「なめらかで、艶やかな、独特の演技」です。会場はそんなルミに引き込まれて静まりかえります。そして、ジャンプが決まる度、大きく拍手が響きます。

演技の最後、音楽が止まるのと同時に高速スピンをぴたっと止めて、微動だにしないポーズが決まりました。

……演技終了と同時に「ピー!」と歓声が上がり、その歓声は、次第に大きくなりました。「うぉ~~!」「ぴーぴー!」と大歓声に包まれたのです。

私もコーチでありながら、一人の観客として彼女の演技に吸い込まれました。そして戻ってきた彼女とがっちりと握手をして「キッス&クライ(kiss and cry : 点数を見るブースのこと)」に上ります。おそらく凄い高得点が出ると期待して、興奮して、点数を今か今かと待ちました。しばらく間が空き、テクニカルエレメントスコア(技術点)が表示されました。

……「えっ?それしか出ないの?」そう思うしかありませんでした。会場中が、そう思ったに違いありません。まさか、回転が足りないとはその時は全く思わなかったのです。その点数に落胆しかけたとき、次のポイントが表示されました。

プログラムコンポーネンツ(スケーティングなど、その他の技術点・芸術点)。今までの彼女にとっては、もの凄い高得点です。素晴らしい演技内容が評価された結果でした。

しかし、ジャンプの回転不足による減点があまりにも大きく(あまりのルミの演技のすばらしさに、私には回っていないとは思えませんでしたが……)、ひとつ順位を下げてしまい、3位に終わりました。

日本チームをまとめて下さったジャッジの方も、ルミの演技が終わったとたんに「素晴らしかった!」と評価してくださいました。その時は、なぜそんな点なのか驚いた様子でしたが、その後、何度も、ジャッジの観点から、どのようなジャンプをすれば回転不足と判断されずに済むのかを、言葉を選びながら、しかし、熱心に教えてくださいました。

今は、ビデオをリプレイして、技術の専門家が回転不足などをチェックするシステムです。ですから、回転が足りなかった事は事実です。その時の演技の映像を見た人たちは皆、これで回転不足とは信じられないと言ってくれますが、次はその様な判断をされないようにジャンプをすることしか向かう道は無いのです。次の機会にはしっかりと跳べるように、すでに調整を始めました。

このオランダで、スケートのコーチの気苦労を思い知らされました。毎日胃がキリキリと痛むのです。しかし、素晴らしい演技に感動し、彼女の可能性を身近に感じることが出来ました。

……今回の演技内容にに、選手自身も、私も、大きな可能性を実感しました。可能性を感じた選手は、可能性を感じる前よりも厳しい練習に入ります。これからが彼女と私と、スケートの重松コーチの本当の挑戦が始まります。

「大成功で、大失敗。そして、次に向かうエネルギーを注ぎ込まれた」。オランダは、そんな大会でした。

 池上信三

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2005年12月12日 (月)

水津瑠美選手4位!無良崇人選手2位!(全日本フィギュアスケートジュニア選手権)

やりました!

プライマリーモーション(以下PM)と、PMを応用したフィジカルトレーニングの両方を受講している、水津瑠美選手(中3)が、全日本フィギュアスケートジュニア選手権で4位の快挙でした!

また、PMを応用したフィジカルトレーニングを行っている、無良崇人選手(中3)は、2位の快挙です。

大学1年生までエントリー出来るこの大会で、中学生にして2位と4位は凄いのです!

瑠美選手はショートプログラム12位と出遅れたものの、ノーミスでフリープログラムを滑り切り、総合4位までジャンプアップ!よく頑張ってくれました。彼女の演技は、目が引きつけられてしまうような魅力があるので、これからの成長が楽しみです。

無良選手は、ショート、フリーともに2位の安定した成績を残し、今後に大きな期待を持たせてくれました。

フィギュアスケートは、とても多くの人たちの力を集結することで一人の選手が出来上がっています。そのチームの勝利と言えるでしょう。

計り知れない2人の潜在能力を引き出すお手伝いをPMが出来ることは、とても嬉しく、とてもやり甲斐があります。これからも、チームの一員としてお役に立ちたいと思っています。

とにかく、嬉しいぃ~~!

競技結果

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2005年12月 9日 (金)

「スポーツ上達のツボ!」・・・慣性

早速、今回のテーマ「慣性」について考えてみましょう。

慣性は、「動いていたら止めにくく」「止まっていたら動きにくい」性質のことです。また、動いているものは、外からの力が加わらない限りは、同じ速度で、同じ方向に動き続けるのです。そして、重ければその性質が強くなると思って下さい。

では、スポーツでは、これをどのように考えて、どのように応用すべきなのか。

その観点は二つあります。

1,「動いていたら止めにくい」から考えられるもの。
2,「止まっていたら動きにくい」からかんがえられるもの。

今回は1,の「動いていたら止めにくい」の説明をします。

「動いていたら止めにくい」の代表は、「歩く、走る」です。

歩くとき、走るとき、皆さんはどのように前に進むと考えますか?
ほとんどの人は、「後ろに蹴る」と、考えると思います。

それは間違いです!

ここでは、分かりやすくするために、「動き始め」を考えないようにして、すでに歩いて(走って)いる人の動きを解析してみましょう。

まず、知って頂きたいのは、すでに歩いて(走って)いる人は、止めにくいということです。
??って思った人がほとんどでしょう。

前に進む人を止めようと体当たりしてみて下さい。体重50kgの人だったら、50kgの鉄のかたまりが動いてきたのと同じ慣性で動いています。止められますか?止められない惰性があるのです。

つまり、前に動くのに力はいらないのです。慣性で動くのを邪魔さえしなければ、いつまでも前に進み続けるからです。(風の抵抗などの抵抗などを無視すれば)

でも、皆さんは、後ろに蹴って前に進んでいると感じています。何故でしょうか?

人が移動し続けるときに交互に繰り出される脚によって、地球に引っ張られてつぶれて(倒れて)しまわないように、常に下向きに地面を押しています。

その、地面を押す力によって、(積極的に力を加えなくても、重力によって地面に押しつけられているので「押す」と表現しています)カラダを支えている足の上を、慣性によって動かされたカラダが通り過ぎて行きます。

その結果、カラダは前に移動し、足はその場所にとどまることで、見かけ上後ろに蹴ったようになってしまい、その時、後ろに蹴っていると感じるのです。実際にも、下向きに押し続ける足をカラダが追い越すとき、足は斜め後方に蹴り出すようなカタチになるので、後ろに蹴っている感覚自体は間違いではありません。

しかし、後ろに蹴って進むと思っていると、常に止まろうとしているカラダに対して、カラダを進める原動力として後ろに蹴っていると勘違いをしてしまい、効率の良い移動が出来なくなってしまいます。

この勘違いは、スポーツマンならパフォーマンスを下げ、普通の人でも、カラダに負担をかける元となってしまいます。

「慣性で歩く(走る)」イメージ出来ますか?

「慣性によって進む」ことが分かると、歩くのも、走るのも夢の様に軽く動けるようになります。

駅まで急いでいて走る時など、ちょっと意識するだけで、今まで感じたことのない軽い移動を実感出来るでしょう。

そして、もっと走りたくなります。ぜひ、お試し下さい。

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2005年6月30日 (木)

”個性”の考え方

Q 選手は皆個性的ですが、プライマリーモーションでは、個性をどのように考えますか・

A プライマリーモーションは、「全身バネになる!」のが基本コンセプトです。また、物理にかなった運動か、骨格に負担をかけていないか、心の持ちようは?という3項目も同時に満たすことで、ほとんど全ての運動の能力を上げる新しい観点の運動指導法です。

ここでご質問の”個性”については、おそらく、どのトレーニング理論よりも的確に説明できると思っています。

プライマリーモーションでは、「カラダをバネにするために、個人個人に最も適した方法を模索すれば、高いパフォーマンスが得られる。そして、そのときに現れるフォームは個性的になる。」と考えています。人間は、カラダのどこをとっても他人と同じところがないのです。骨のカタチも、長さも、太さも、強さも、違いますし、筋肉も、循環系も、みんな違います。その違うものを、それぞれに適したバネにしてパフォーマンスを生む。また、それぞれの個性にあった動きを分析し、骨格に負担をかけない工夫をする。すると、全く違うフォームが生まれてきます。違うフォームが生まれるからこそ、パフォーマンスが上がります。

⊂shinzo⊃

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2005年5月18日 (水)

氷の上と陸の上のジャンプは同じ

氷の上と陸の上ではもちろんジャンプのやり方が違います。しかし、その違いは思いの外小さいのです。多くの方は、氷と陸上を別のものと考えるので、(高く飛ぶ、走り高跳びとバレーボール、バスケットボールですら、それぞれ跳び方が違うと考えるのが普通なので、当たり前ともいえますが・・)特に、非日常的な氷の上であって、さらに跳び上がった後回転するとなれば、氷の上の特殊性を感じずにはいられないでしょう。しかし、どのジャンプも人間がやっています。跳び上がるための動作はそれほど多くのやり方があるわけではありません。

ジャンプをどのようにするかの根本的な考え方が正しければ、跳び上がる競技の全てにその理屈は当てはまる訳です。まずは、氷とか、土の上とかということを忘れて、高く跳ぶにはどうすればいいかを追求することが大切です。

スピードを生かすジャンプは、その構成がどの競技でも同じです。(スキーのジャンプ競技は少し違いますが・・)知りたい方から打診があったら、公開致しましょう。←少しだけもったいぶってみました。

⊂shinzo⊃

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